読書日記 第11回 『香港危機の700日全記録』

こんにちは。広島で遺品整理業を営むはっぴいえんどの西本です。

皆さんは自分の歴史と社会の歴史を照らし合わせることってありますか?

例えば、私もブログで何度か書いていますが、

2001年9月11日のアメリカでの同時多発テロ。
同じ頃、私は大学3年生でゼミ合宿へ行く当日に同時多発テロのニュースに遭遇した。

2011年3月11日の東日本大震災。
同じ頃、私は夜勤へと向かっている途中でした。出社してあの被災地の状況をテレビで見て絶句した。

このような感じで、歴史とともに自分の人生を横に並べてみて自分の成長や当時考えていたことを振り返るなんてことをしています。皆さんはいかがでしょうか?

このコロナ禍だってそうですよね。きっともっと年齢を重ねたときにこのコロナ禍は忘れることのできない“異常事態”として思い出されることでしょう(そうでないといけないと思います)。

しかし、このコロナ禍の一方で現在進行形で私たちの感覚とはかけ離れた出来事が海の向こうで起きていることを皆さんはご存知でしょうか?

今回の読書日記は益満雄一郎著『香港危機の700日全記録です。
イギリス領であった香港。
その香港が中国に返還されたのが1997年のことです。
以来、香港は中国でありながら本国とは異なった経済体制・制度で独自の成長を遂げていました。
経済だけでなく、政治においても本国中国とは異なった制度で選挙も行われていました。

一方の中国は中国共産党による一党独裁政治です。
香港は中国共産党の一党独裁を揺るがさない程度での自治が認められていました。

そんな香港で今、何が起きているかご存知でしょうか?

『香港危機の700日全記録』は2019年に起きた香港市民による民主化要求デモがどんどん大きくなり歴史的な成長を遂げる舞台裏を追い、それが中国共産党政権によってあっという間に握り潰されるまでのドキュメントが詳細に書かれています。著者が朝日新聞の記者ということもあり、関係者のインタビューも民主化を求めるグループから中国支持グループまで幅広く、この出来事を考える上で充実の内容となっています。

2019年から現在にかけて香港で起きたこと、起きていることが綴られています。

私たちはこの間、何をしていたでしょうか?
私は2015年に仕事で香港を訪ねています。もう6年前です。
6年前には当たり前にあった光景が今ではもうない。

香港の人たちはついこの前までは制限がある中でも選挙に立候補することができましたし、投票の自由もありました。自分たちの思いを政治に反映させることがひとまずは可能だったわけです。

ただ、ある法律を制定する過程で、議員をいかに投票で選出していても最終的には中国共産党政府の“許し”がない限りは最後の決定はできないというのが香港でした。その“いびつ”な本質に人々が耐えられなくなるのは時間の問題だったと思います。何しろ世界でもトップクラスの経済力を誇り、世界を舞台に活躍する人たちがたくさんいる香港です。政治においてだけ他の自由の国々と“何かが違う”ということを知らないふりして過ごせるわけがなかったと思います。

その“矛盾”が2019年に爆発し、多くの市民が現行の政治のあり方に“NO”を突きつけるのですが、それを牽引したのが大学生をはじめとする“若者”だったのです。SNSなどを駆使して世界にも香港の持つ問題や矛盾が多く発信されました。

日本でも周庭(アグネス・チョウ)という女性が有名になりました。
彼女は日本語を話すことができ、日本の若者文化にも詳しく、日本人にとっても親しみやすい人物です。
私は彼女をかつての孫文みたいだなぁと思って見ていました。

そんな若者たちの真剣な訴えは2020年6月に施行された「香港国家安全維持法」によって根こそぎ叩き潰されました。

この法律によって民主派と呼ばれるグループは今現在も解散を強いられています。
一度、国家に歯向かっていると疑われれば逮捕されるこの法律。
一瞬にして政府に対する批判は封じ込められました。

日本で言えば、自民党を批判することを書けば捕まる可能性があるということになります。

先述の周庭さんも逮捕され8ヶ月に及ぶ禁錮刑を受けました。

この本にもありますが、「自由は死んだ」と言えます。

このようなことが今現在、海の向こうでは行われているのです。
必死に戦っていた若者たちがいて、それが権力によって潰されたという現実。

こんなことが自分の国で起きていたら、自分はどうするのだろうか。

それをずっと考えています。
この国では、香港で本質的に大切な“自由”がなくなっていっている中で、自ら“自由を奪ってくれ”という議論がされていました。人は非常時になればどんな風にでも振れるのだなぁと思っています。

この本を読んでいて、“本当の幸せ”を担保する前提って一体何なのだろうと真剣に考えました。

言論の自由、思想の自由、投票の自由・・・一見、関係ないように見えて実際はそれこそが根っこなのだなぁと香港の現状を見て思います。

21世紀の時代に自由がなくなってゆくという明らかに逆を進む香港。
日本も人のことが言えない感じになりました。

これからどんな歴史を辿るのか。
しっかり“我が事”として生きていきたいと思います。

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