読書日記 第8回 『アヒルと鴨のコインロッカー』

こんにちは。広島で遺品整理業を営むはっぴいえんどの西本です。

今回の読書日記は初めての小説です。
伊坂幸太郎著『アヒルと鴨のコインロッカー』です。

この作品は2003年に発表されました。
今や売れっ子代作家となった伊坂幸太郎さんの代表作のひとつですね。
伊坂幸太郎さんといえば、『重力ピエロ』『グラスホッパー』『フィッシュストーリー』などなど良質なミステリー作家としてどの作品もヒットし、これらの作品はどれも映画化されています。

今回紹介する『アヒルと鴨のコインロッカー』も2007年に映画化されて高評価を受けました。
この映画版『アヒルと鴨のコインロッカー』もぜひ見ていただきたいおすすめの作品だったりします。
私は読書こそ続けていますが、今は小説から離れてしまっています。小説を最も読んでいたのは大学時代でした。特にミステリー小説がマイブームとなり、ミステリーファン必見の『このミステリーがすごい』なども必ず年末にはチェックして、自分が選んだ作品と選者が選んだ作品がどれだけ重なるかなどの勝負を勝手にしていました。2000年代初頭の話です。今でも『このミス』は続いているようで、年末にこの雑誌を見るたびに懐かしく思います。

私はミステリー作家の中でも、宮部みゆき、京極夏彦、松岡圭祐、戸梶圭太、真保裕一などを過去の作品まで買い漁って愛読していました。

中でも伊坂幸太郎さんは2000年のデビュー作である『オーデュボンの祈り』が新潮ミステリー倶楽部賞を受賞してその作品が店頭に並んだときに発見をしています。デビュー作の『オーデュボンの祈り』も超名作で私の人生観に大きな影響を与えてくれています。

その後、伊坂さんは2003年の『重力ピエロ』が高い評価を得て売れっ子作家になってゆきます。
私は伊坂さんが“ビッグ”になってゆく様を作品を通して“ハナタカ”な思い出見ていました。

今では私自身が小説を読まなくなり、伊坂作品の“今”を追うことが出来ていません。
ただ、この『アヒルと鴨のコインロッカー』は映画も小説も無性に読み返したり見返したりしたくなります。


伊坂さんの作風は話の内容や展開は込み入って重厚なのですが、文体が全て軽やかでポップなんです。
まるでおとぎ話を読んでいるかの如く登場人物がみんな“絵画”に見えるんです。
全ての描写が鮮やかな水彩画に見える時がありました。

一方で話は実は残酷だったりします。
この『アヒルと鴨のコインロッカー』も田舎町の人間関係や、外国人差別などとても重たいストーリーがベースにあります。

これは実は私たちの実生活に本当に近い世界観なのだと読み進んでいるうちに気づきます。

私たちの周りにある世界も、実はドロドロしていて重大な問題が起きていてベースは重たいはずです。しかし一方で一人一人は案外気軽に生きているものですよね。

大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ! 四散した断片が描き出す物語の全体像とは? 注目の気鋭による清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。

ストーリーとしては上記の内容です。
「広辞苑」を狙った強盗というのが実にキャッチーです。読みたくなります。

この作品はミステリーとして読み手を本当に驚きの世界に誘ってくれます。
ストーリーに触れるとネタバレになるので、そこには触れません。
しかし、読書でないと体験できない凄まじい展開が待っています。
クライマックスを読んだ時、本当に腰が抜けるほど“やられた”と思いました。
あれほどの読書体験は後にも先にもこの作品だけです。

そんな経験をしているものですから、映画化が決まったというニュースを聞いたときに「それは全然無理。面白さが半分も表現できるはずがない。映像になることはそもそも前提となっていない。」と強烈に思いました。

映画は結果として、本が持っている“読書でしか表現ができないクライマックス”を放棄しています。

しかしあらすじ自体は変わっていません。
これがすごいのです。

映画は映画で、伊坂さんが張り巡らせた最強の展開を一回“解体”して、全く別物として作品を作り上げています。

それは伊坂さんが作った作品世界が“ミステリーという仕掛け”を抜きにしてもなお感動的であったという証明でした。

ということで映画版『アヒルと鴨のコインロッカー』も私の中で過去見た作品の中でのベスト5に入っています。


『アヒルと鴨のコインロッカー』いかがでしょうか?
読書も映画もすばらしい作品です。
こうして紹介したので私も久しぶりにこの作品を堪能してみようと思います。

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