読書日記 第4回 『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』

こんにちは。広島で遺品整理業を立ち上げたはっぴいえんどの西本です。

今週ご紹介する本は佐々木健一著『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』です。佐々木健一さんは元NHKのディレクターで現在はノンフィクションライターをされています。私は2014年にこの本に出会いました。それ以降、佐々木健一さんのノンフィクションのファンになり様々な作品を読んでいます。

『辞書になった男』もノンフィクション作品で、NHKで番組も放送されています。
作品の内容はこんな感じです。

見坊豪紀、1914年生まれ。国語学者にして稀代の天才辞書編纂者。山田忠雄、1916年生まれ。国語学者にして反骨の鬼才辞書編纂者。一冊の国民的辞書(『明解国語辞典』)をともに作ってきた二人は、なぜ訣別し、二つの辞書(『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』)が生まれたのか?昭和辞書史最大の謎に迫る、知的興奮の一冊。

そうです。辞書の話です。みなさんも学生の頃、辞書を持っていたのではないでしょうか。そして国語辞典といえば、『三省堂国語辞典』、『新明解国語辞典』ですよね。多くの方がどちらかの国語辞典のお世話になっているかも知れません。

国語辞典って何だか勝手に存在しているものって気がしませんか?生活でいう水や空気みたいな存在です。

この本は一冊の国語辞典から始まります。

『明解国語辞典』

国民的辞書に上り詰めるこの『明解国語辞典』が見坊・山田という国語学者によって作られ、磨かれ、ベストセラーになってゆく物語がまずは描かれます。

いかにして子供でも引きやすい辞書にするか
いかにしてわかりやすく言葉を解説するか・・・

それらの苦悩は読んでいて息を呑みます。こんな試行錯誤の延長線上に私たちの原初の学びがあるんだなぁと感動した覚えがあります。

その後、見坊・山田という両先生は思想的な決別をし袂を分つことになります。
そしてそれぞれで新たな辞書が打ち出され、今もなお国民的辞書であり続ける『新明解国語辞典』と『三省堂国語辞典』が生まれます。2人の天才の思想はそのままそれぞれの辞書の特徴として表現されています。

辞書に思想や人格が宿っているかのようです。
辞書って何だか機械的な書物だと思っていたのですが、その中にそれぞれの国語学者の生き様や思想が反映されていたのです。この事実を知ったときはものすごく興奮しました。


この作品を通じて思ったことがあります。

何かが生まれる時のディテール=詳細の物語の面白さ
一つの夢を追っていても少しの違いで道は分かれる

どんなことにも誰かが関わり、誰かが何かを思い、そして一つ一つに物語がある・・・辞書というものに対して全く想像すらしていなかった物にもそれが凄まじく存在していたことにある種のカルチャーショックを受けました。この作品を読んで以後はそんなノンフィクションを好んで読むようになりました。そしてどんなことに対してもリスペクトの気持ちを持ち続けようとこの作品を通して思ったのです。

一方で、熱い思いを持って何かを作り社会からも評価を受けて夢を達成したとしても訪れる“決別”というものの無情さをこの作品を通じて知りました。前半の『明解国語辞典』をめぐる両先生の絆は感動的なので、その後の決別が本当に衝撃的に映ります。人生には何があるかわからない・・・当たり前のことではありますが、そういうことって起こります。実際にこの作品を読んだ数年後の自分にもそれは訪れました。

今も、書店でこの両国語辞典を見かけたときに、見坊先生と山田先生の熱意が思い出されます。
ディテールへのリスペクトが沸き立ってくるこの作品をぜひ読んでみてください。

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