読書日記 第3回 『昭和16年夏の敗戦』②
こんにちは。広島で遺品整理業を立ち上げたはっぴいえんどの西本です。 前回から紹介している名作『昭和16年夏の敗戦』の続きです。 今一度、簡単なあらすじを振り返ってみます。
「日本必敗」―これが日米開戦前夜、総力戦研究所の若きエリートからなる模擬内閣が出した結論だった。にもかかわらず、日本が開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視し、無謀な戦争へと突入したプロセスを克明に描き、日本的組織の構造的欠陥を衝く。
ここに書かれていることは歴史的事実なんです。ご存知でしたか?私は以前にも書きましたように歴史好きを自認していましたが全く知らないことでした。
日本はアメリカに戦争を仕掛ける前に徹底的にシミュレーションをしていた
そして徹底したシミュレーションの結果、結論は「負ける」だった
シミュレーションをした模擬内閣が出した結論は当時の首相・東條英機も知っていた
この作品は普通に物語として読むこともできるのが魅力の一つです(その作風が猪瀬さんの真骨頂だったりします)。舞台は総力研究所。集められたのは将来を嘱望された若きエリート官僚や民間人。彼らが与えられたミッションは「日本とアメリカが戦争した場合の展開」。提出される国家のデータは本物の日本の中身。石油資源や鉄の製造能力など現実のデータをもとにアメリカとの戦争を遂行した場合、本当に勝てるのか?どうすれば勝てるのか?
与えられたミッションを合宿生活のようにみんなで話し合ってゆく若いエリートたち。それは読んでいるだけでドラマ見たいです。手に汗を握る物語が進みます。長きにわたる演習の結果出された結論は“日本敗戦”。
彼らが作った“敗戦レポート”ですが、その内容はほぼその後の歴史と同じような道筋をたどります。つまり彼ら若きエリートたちの模擬内閣が出したシナリオ通りに歴史は進むことになったのです。
これは彼らの予言が当たったという話ではありません。データを駆使して冷静に分析すれば間違いなく結論は“敗戦”だったということです。あの東條英機はその結論を彼らから聞いていました。その上で開戦に踏み切ったというのが歴史です。“敗戦”という結論を出した若いエリートたちが上司や大人が出した“開戦”という結論に対してどれほどのショックを受けたかは想像に固くありません。その光景はこの本の中でとても印象的なものです。
違うのです。ここまで読んだ人たちは、当時の東條ら政府が若い連中の意見を握りつぶしたんだと思うでしょう。それは違います。東條ら政府も冷静に分析はできていたはずです。しかし戦争は止められなかった。
東條ら政府が止められなかったものの正体
これこそが今、この本を読むべき理由です。
政府が機能しなくなるもの。政府を翻弄するもの。
これはいつの時代も同じだということです。
自分自身、生きている間にこの作品の主人公である若者たちが見た“正体”を見ることになるとは思いませんでした。
緊急事態宣言を意味もないのに連発しなければならない今の総理大臣と負けると分かっていて開戦に踏み切らなければならなかった当時の総理大臣が私には重なって見えます。
あえて、私は“正体”をはっきりと書いていません。
これはぜひ『昭和16年夏の敗戦』を読んで探してみてください。
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