読書日記 第29回 『文藝春秋 2022年4月号』

こんにちは。広島で遺品整理業を営むはっぴいえんどの西本です。

今回ご紹介する本は現在書店で平積みになっている「文藝春秋2022年4月号」です。
「文藝春秋」とはいわゆる総合誌と言われている雑誌ですね。
日本の雑誌文化を支えている老舗の雑誌です。

昔、小学校の担任の先生の本棚に「文藝春秋」が何冊か並んでいて、当時小学生だった私は“藝”という字が読めなくて、この本は相当難しい本なんだなぁ・・・こんな本を何冊も読んでいる先生はすごいのかもなぁと思ったものです。

あれから数年経って、大学生になると「文藝春秋」と形状の似た雑誌である「正論」「諸君」を毎号買って読み漁るという時期も長くありました。いわゆる言論雑誌というやつです。私の言論の感覚や文体はこの頃の「正論」「諸君」の影響を強く受けているだろうと思っています。産経新聞社が発行する「正論」と文藝春秋が発行する「諸君」、どちらもいわゆる保守言論誌に分類されており、ここから発信される意見がのちの安倍政権を産んだとも言えるでしょう。今となっては「諸君」はなくなり、「正論」は今でもしぶとく発行されています。私も大人になるにつれ、毎号のように中国や韓国バッシングをしているこれらの雑誌に完全に飽きて読まなくなりました。私の恩師もいまだに「正論」に連載を持っているのですが、今では買ってまで読むことはありません。

話がそれましたね。そんな言論誌を読み漁っていた私ですが「文藝春秋」は言論誌のひとつ“格上”ってイメージがありましたね。ただ、毎号買うほど興味のあるテーマがあるわけでもなく、1年に1回興味のあるテーマが掲載されていれば買うかなぁと言った感じでここまできている感じです。

さて、それではなぜ今月号を取り上げているのかと言いますと・・・。
写真にもあるように買ってでも読みたかった理由は石原慎太郎さんの文章が掲載されていたからです。

石原慎太郎「死への道程」

これは先日亡くなった石原慎太郎さんが昨年秋に医者から“余命”を宣告されたときに書いた文章です。
文章量としては全く長くなくてサクッと読める量ではありますが、何度も立ち止まって読み返してしまうような力がありました。
まもなく自分が“死”を迎えることになる・・・それをどう受け止めるかが書かれています。

石原さんは自らが老いてゆくことや死を迎えることをずっと考えてきていて、それを作品に残しています。
以前の読書日記でも紹介した『老いてこそ生き甲斐』でもその死生観が綴られていました(「読書日記第25回『老いてこそ生き甲斐』」)。

今回発表された「死への道程」は今まで石原さんが書いてきた“死”というものの捉え方とは随分と異なっていました。
今までは“死”の存在を生きることで受け入れるという絶対的な意志がありました。
途中で生きることを止めた三島由紀夫や江藤淳といった先達への想いも“生きる”ことへの絶対的な肯定があったため辛辣になっていた石原さんです。それほど“生きる”ことを前提とした“死”というものへの捉え方が圧倒的に眩しかった石原さん。

それが今回は私には違って見えました。
どう違って見えたかはぜひ「死への道程」を読んで感じていただきたいです。

読んでいていろいろな感情が渦巻くすごい文章だったと思います。
石原さんのずっと語ってきた死生観を知っているからこそ心が揺さぶられ、感情がぐちゃぐちゃになりそうでした。
だからと言ってショックなことが書いているわけではありません。
そこには強さも弱さも老いも時代も全部呑み込んで生きてきた“巨大”なスターの前進する心も立ち止まる心も含まれていました。

感じるところがたくさんある短い文章です。

「文藝春秋4月号」にはこの石原さんの文章の他にも、石原さんの四男の延啓さんが綴った慎太郎さんの最期の姿や盟友・亀井静香さんが書いた石原さんへの追悼文なども掲載されています。そして、石原さんがデビューを飾った『太陽の季節』が昭和30年当時に「文藝春秋」に掲載されたそのままの状態で載っています。当時の雰囲気が伝わります。

このように石原慎太郎さんの追悼が満載の4月号です。もちろん総合誌ですので中国情勢やウクライナ情勢に関する記事も満載ではあります。ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

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