読書日記 第22回 今年読んだ“最高本”

こんにちは。広島で遺品整理業を営むはっぴいえんどの西本です。

今年最後の読書日記です。
この連載ブログを書くにあたり、過去の読書体験から引いた作品と今年読んだ作品と混在することになりました。
どういう形がベストなのかはいまだにわかっていませんが、今年も楽しく読書ができたのはこのブログのおかげもあるかなぁと思っています。

読書を止めると知識や感性を磨くことを止めたことと同じ意味になりそうなので、生きている間は続けていたいですね。
そんなこともこのブログのおかげで思うことができました。

そんなこんなで今年読んだ本の中で印象的だった作品3選を年の最後に紹介したいと思います。

第3位 東浩紀『ゆるく考える』

今年の序盤に文庫化された東浩紀さんの『ゆるく考える』。河出文庫から出ています。
このブログで、私が尊敬する人のひとりとして東浩紀さんを紹介したことは何度かあります。
読書日記でも初回を東さんの『弱いつながり』を選びました。

この本自体は2019年に単行本として出版されています。
もちろんその時にも買って読んでいるのですが、文庫化に際して改めて購入して読みました。

この作品は東さんがさまざまな媒体で書いたエッセイを1冊の本にまとめたものです。
平成20年代に書かれた東さんの思考の断片が収録されています。
この東さんにとっての平成20年代とは、評論家として文芸誌に連載を持っていたりして人気評論家だった頃から、独立して起業して会社を経営するようになった時代をカバーしています。社会では東日本大震災があり、福島での原発事故があり、それらの社会情勢に東さんが反応しながら何を考えていたのかがこの本でわかります。

ひとつひとつのエッセイは全く関係ない内容だったりします。
2010年代はルソーについて深掘りしていたり(これはのちに東さんの作品に繋がっていたりします)、福島第一原発に行った時の記録が書いてあったり、経営するゲンロンという会社を畳もうとした自身の心情が綴ってあったりさまざまです。

しかし、それがある一人の人間の人生の断片として記録されているということが美しいなと思いました。

きっと自分にもこうして全く違うことを考えたり、取り組むテーマがどういう方向を向いているのかわかりにくかったりしているはずです。こうして東さんのように文章としてどこかに残していてそれを1冊に集めてみる。

なんだかロマンがあるなぁと思いながら読みました。

一方で、この文庫の後書きに東さんは「コロナ禍を経てこの本を読み返すと、違う世界にいるみたいだ」という内容を書いています。

つまり、今は今の感じ方や考え方があるということなのでしょう。
この本に収録されているエッセイとは違う考えが今は浮かんでいる。
そうやって人生は変化をしながら豊かになってゆくのだと思わせる文章です。

自分の将来への憧れを込めて、この本をいつも近くへ置いておきたいと思います。

第2位 小林よしのり/井上正康『コロナとワクチンの全貌』

この本については詳しくは語りません。

とても勉強になりました。
そして、ちゃんと学ぶことの大切さを痛感しました。
本の力を感じます。本って歴史に残りますしね。

絶対はないということ。
です。

第1位 加納愛子『イルカも泳ぐわい』

第1位は以前にも絶賛しましたAマッソ加納愛子さんのエッセイ集『イルカも泳ぐわい』です。
もう今年はこれに尽きます。

その興奮は「読書日記 第10回 『イルカも泳ぐわい』」に書きました。
この作品は今年最高の読書体験で、最大の発見でした。

読書日記で『イルカも泳ぐわい』を紹介したのが10月ですが、その後も加納さんはさまざまな文芸誌で連載を始めています。
文芸界からも高い評価を受けているんでしょうね。
テレビでのAマッソとしての活躍もさることながら、実は加納さんの文芸誌での連載数も相当増えていて、文筆家としての期待も高いことがうかがえます。

来年にはそれらの連載がまとめられて第2作とか出版されないかなぁと早くも心待ち状態です。

加納さんの文体は、私にとってはあの伊坂幸太郎さん以来の衝撃でした。
どうやったらあんな軽やかな文体に深いことを放り込めるのか?
私は自分の文体が好きではないので、本当に憧れます。

来年の今頃、この本がもっと有名になって評価が高まっていることを期待しています。



以上、今年読んだ“最高作品”を紹介しました。
ぜひお正月休みにでも読んでみていただけると嬉しいです。

そして来年も名作との出会いを楽しみにしています。

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