読書日記 第12回 『いろいろ』
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こんにちは。広島で遺品整理業を営みはっぴいえんどの西本です。
今回は1日ずれましたが、毎週恒例の読書日記です。
今回取り上げますのは上白石萌音著『いろいろ』です。
著者の上白石萌音さんは女優で歌手の今が旬の人です。来月からはNHKの朝の連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』の主演も予定されています。
“柄にもない本を読んでいるなあ”というのが自分の“内なる心”の声だったりするのですが、この本を読もうと思ったきっかけはSNSです。今どきですね。
この本はNHK出版さんから出ています。
このNHK出版の編集者なのか広報の担当の方なのかはよくわからないのですが、要はスタッフさんがInstagramでこの『いろいろ』のアカウントを作って情報発信をしていたのです。発売の半年ぐらい前からだったでしょうか…ずいぶん前から『いろいろ』の制作過程やスタッフさんの思いを発信していました。
本を作る過程というのは知っているようで知らないものです。 ページの紙質や色合いやデザイン…それらが決まってゆく過程が日々写真と、その担当者の想いが綴られてゆくのです。 こういうのを読んでしまうと、読んでいる側も愛着が湧いてしまいますね。いつも当たり前のように書店に並んでいる本ですが、ひと作品ひと作品にいちいち“人格”が携わっているのです。 “知ってはいる”が“わかってはいない”。 よくあることです。 Instagramのアカウントは本の制作の裏側に人格を与えるものでした。 普通、本を選ぶときは著者に興味がある、テーマに興味があるなど、いわば“素材”こそが物を言います。しかし今回は素材を作る裏側に興味を持たされ、一緒に本を“育てた”気分になって購入に至るという稀有なパターンとなりました。ある意味、現代的な本との出会い方かもしれませんね。 本題である本の内容は紹介文によるとこのような感じです。
何気ない日常の断片や去来する思い、情景などを綴った50篇におよぶエッセイ、大切な家族との再会や、ゆかりの地を巡った故郷・鹿児島ルポ、
初の創作となる掌編小説、思い出の写真とともに振り返るバイオグラフィ、本人撮影によるフィルムカメラスナップ……。
これまでブログやSNS、メディア取材などでは語られなかった気持ちや、家族・友人への思いなど、過去を振り返りながら足もとを見つめ直し、
そして未来へ思いを馳せるように、ありのままに瑞々しくも至妙に綴られた文章はすべて書き下ろし。何気なくてあたたかな数々の“記憶"をあざやかな“叙述"として編み上げました。
いわゆるエッセイ集ですが、上白石萌音さんの綴る言葉は素朴だけれど、確実に本を読んでいる人のそれで言葉のリズムがとても心地が良いです。作中に実際にエッセイを書いているシーンもあったりして、「ちゃんと書いているんだ」と思わせてくれる味わいです（語りおろしではなく、ちゃんと“書いている”という意味です）。 そして何より、日常を日常として切り取りながら作者の人格がちゃんと表現されているというブログを書いている身からすれば羨ましすぎる文章の“調理”となっています。 素朴な言葉を使っているから読んでいるこっちの身からすると、心のどこかで“自分が書くなら”などと調子に乗った感情をどこかに置いて読んでいました。 毎日ブログを書いている立場からはやはり文章を綴ることの楽しさと難しさがあって・・・例えば、自分が文章を書くときは“のっぺらぼう”な文章だけは書きたくないと思っているわけです。なので、どこかで自分の思想や想いを書き込んでいたりするわけですね。それが萌音さんの文章からも伺えたりするのです。そしてそれがすごく自然ですごいなぁと思うのです。 役者さんはいわば全身で何かを表現しているわけですが、上白石萌音は言葉だけでも十分表現を駆使してその人柄を伝えてしまうのだなぁと感心してしまいました。 『いろいろ』という本にはこうして筆者の言葉の軽やかさとは異なり様々な景色を私に見せてくれました。 この表現力はどこから来るのかは分かりませんが、ブログを書く身としてどうにかして近づきたいと思います。 そしてこの本の存在を発信したSNSの手法・・・これも私たちの会社の存在を知っていただくための手法のヒントになりました。 私がSNSをきっかけに偶然この本と出会ったように、どこかにはっぴいえんどと偶然出会ったくれる人がいてくれますように。
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