『人間臨終図鑑』からひと掴み②
こんにちは。広島で遺品整理業を営むはっぴいえんどの西本です。 久しぶりの「『人間臨終図鑑』からひと掴み」です。 前回は9/16に書きました(「『人間臨終図鑑』からひと掴み①」)。 『人間臨終図鑑』は作家の山田風太郎が古今東西の歴史上の人物の“死に様”だけを綴った“世紀の奇書”と言われている作品です。 私は“趣味は読書”と公言しています(大したことではありません)。 現在5冊を同時進行で読み進めているのですが、それとは別にふとした時に『人間臨終図鑑』を開きます。 その理由は、自分の現在の立ち位置を確認するためです。 『人間臨終図鑑』は歴史上の人物の死んだ年齢が若い順に列挙されています。
十代で死んだ人々
八百屋お七
大石主税
アンネ
森蘭丸・・・・
(中略)
二十代で死んだ人々
田中新兵衛
楠木正行
豊臣秀頼
赤木圭一郎
藤田小四郎・・・
ちなみに文庫の『人間臨終図鑑』の第1巻は49歳で死んだ人々までが書かれています。 2巻、3巻・・・と読み進めればその死の年齢が上がってゆくという構成になっているわけです。 ですから、例えば、今私が40歳なので、“同い年で亡くなった人達ってどういう人でどんな亡くなり方をしたのか”・・・とページを開いたりするのです。 時には、“今の自分より若くして亡くなった人たちはその年齢までに何を成し遂げていたのか”とか“こんなに若くして死してどれだけ無念だったか”などと思いながらページを開きます。 時には、“自分より年上で亡くなった人たちはこれから3冊分ある(40歳で死んだ人々は第1巻収録なのでそれより年上は2巻〜4巻になる)。だからまだまだ努力の余地はある”などと考えながらページを捲るわけです。 『人間臨終図鑑』は不思議な書物です。 このようにポジティブな気持ちにもネガティブな気持ちにもなる構成をしているのですから。 だからその時々の自分の気持ち=立ち位置を確かめるために、時たまページを開いてその時の気持ちに合った人々の“死”に出会います。 思い返してみると、20代の頃はこのように思っていました。 高杉晋作の死の年齢まであと何年あるか? 『人間臨終図鑑』にも高杉晋作の死は描かれています。 高杉の享年は28です。 坂本龍馬と並ぶ幕末のヒーローである高杉晋作は私が好きな歴史上の人物です。 彼のように“動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し”(伊藤博文が高杉のことを評した有名な言葉)と言われるような生き方がしたかった10代の頃。あの頃の“一線”は28歳でした。 ですから自分が28歳になったときに「ああ、高杉みたいな充実した28年って自分は過ごせなかったなぁ」と思ったことをはっきりと覚えています。 どうやら昔から自分は自分の立ち位置を憧れの人たちの生き方や死に方に擬えるクセがあるようです。 高杉の享年を通り過ぎてからは別の人物の年齢に自分を擬えて生きていたります。(その人物のことはまた別に機会に譲りたいと思います。) 今年は新たに遺品整理業としてはっぴいえんどを立ち上げるという大きな転機の1年となりました。 途方のないチャレンジかもしれないなと思いつつ、『人間臨終図鑑』では40歳はまだ第1巻。 まだまだすごい人物たちが死したのはあと3巻分もあるぞと希望を持つのです。 勝手な妄想です。
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