読書日記 第26回 『わが人生の時の時』

こんにちは。広島で遺品整理業を営むはっぴいえんどの西本です。

2週間空きましたが、今回も前回に引き続き(読書日記 第25回 『老いてこそ生き甲斐』)、石原慎太郎さんの作品を紹介します。
石原慎太郎著『わが人生の時の時』。
これは平成2年の作品です。
私は大学生の時、高崎で一人暮らしをしている頃に復刊された『わが人生の時の時』を読みました。
時は2000年台初頭で石原さんが東京都知事として大活躍をされていた頃です。
以前にもこのブログで書いたように、この頃の私は石原慎太郎の文学作品を貪るように読み漁っていました。

この『わが人生の時の時』は石原さんが亡くならなくてもそのうち読書日記でも紹介している作品でした。
なぜならこの作品は私が読んだ文学作品の中で5本の指に入るほど大好きな小説だからです。

『わが人生の時の時』は不思議な作品です。
小説とされているのですが、内容は石原さんが実際に体験した“人生の時の時”がショートショートで描かれています。
実際に体験した話なのでノンフィクションです。
だが、小説として位置付けられている。
確かに読めばどんどん引き込まれる物語性で溢れているのです。なので読んでいると何かの物語に誘われている錯覚に陥ります。しかしそれは事実であるという。

内容は石原さんが強烈に生きていることを感じた瞬間が畳かかるように描かれています。

ヨットに乗っている時に海に飲み込まれようとした瞬間。
雷が目の前に落ちてきた瞬間。
弟の石原裕次郎さんが解離性大動脈瘤という大病に罹った時に9時間に及んだ手術を待っていた時の心の風景。
そして裕次郎さんが目を覚ました時に聞いた“三途の川”の景色。
などなど

1遍1遍はとても短いのですが文章は小説と錯覚するくらい濃厚。
大作小説を読みたい人には相当違和感がある作品ですが、この短い文章の連続は実はとても現代的だなぁと改めて思います。Twitterなど短文に慣れた私たちには今こそ『わが人生の時の時』の文章は触れやすいものになっている気がします。

石原さんの文体は独特で人によっては読みづらいという評価もあるのですが、この作品は贅肉が削ぎ落とされているようで読みやすいのも特徴です。

大学生の時に読んだ、人がサメに飲み込まれる瞬間は文章でありながら目の前にその光景がはっきりと見え、戦慄を覚えました。あの強烈な読書体験は後にも先にもあれだけです。

それだけの読書体験をもたらしてくれたのが『わが人生の時の時』であり石原慎太郎その人でした。

私の中での石原作品最高傑作である『わが人生の時の時』。
今では本屋さんで入手するのは困難です。
ぜひこれをきっかけに復刊することを望みます。

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